「老後は年金でつつましく暮らそう」
これは「厚生年金」と「十分な貯金がある人」のお話です。
長い間フリーターだった人は、厚生年金に加入していなので厚生年金がもらえません。
また、厚生年金がもらえないとすると国民年金を受け取ることになるのですが、1人当たり「5万円」程度しかもらえません。
果たして、1か月「5万円」で生活できるでしょうか。
若いうちから貯金をしてこなかった人は国民年金だけではとても生活できません。家賃の支払い、医療費の支払いなどで生活は困窮します。
そんなとき「生活保護」という道が残されています。
「老後の生活保護」を考えた場合、どのような条件が必要になるのでしょうか。
生活保護のほとんどは「高齢者」
2017年3月時点で、生活保護を受けている人は全国で「164万世帯」以上あります。
そのうち85万世帯(52%)は「65歳以上」の高齢者です。
その9割が1人暮らしの高齢者です。
生活保護を受ける理由は様々あります。
ケガや病気で働けない、母子家庭、障害などいろいろあります。
しかし生活保護を受ける理由として圧倒的に多いのが「年金だけでは暮らせない」、「高齢で働けない」というものなのです。
いかに高齢者の生活が困窮しているか、お判りでしょうか。
「生活保護」と「年金」をダブルで受け取ることは可能
生活保護制度は「生活保護基準額」に満たない生活費を補う制度です。
「生活保護」と「年金」は関係ありません。
「年金」をもらったからといって「生活保護」が受けられなくなるということはありません。
受け取る「年金の額」が「生活保護基準額」に満たなかった場合、それを補う金額が生活保護として支給されます。
生活保護は「世帯」を単位に支給されます。
夫婦で暮らしていれば2人に対して、1人暮らしであれば本人に対して生活保護が支給されるということです。
ただし、世帯の収入が生活保護基準額を上回る場合は、生活保護を受けられません。
生活保護基準額は自治体ごとに違う
生活保護基準額は、地域の物価や家賃の相場によって変わるため、市町村ごとに違います。
たとえば、北海道札幌市であれば以下のようになります。(2017年度)
モデルケース「高齢夫婦(夫72歳、妻68歳)」の場合
- 生活扶助(生活費):10万9,720円
住宅扶助(家賃):4万3,000円 - 合計:1か月「15万2,720円」
(冬季:17万520円)
生活保護で「タダ」になるもの
生活保護を受けると、食費や雑費などの「生活費」以外にも、医療費が無償になったり、家賃がタダになったりします。
具体的に言えば、例えば次の扶助が受けられます。
- 生活費(生活保護基準額):支給(生活扶助)
- 家賃:タダ(住宅扶助)
- 病院代:タダ(医療扶助)
- 介護費:タダ(介護扶助)
- 葬式代:タダ(葬祭扶助)
生活保護を受けるなら「恥」を捨てろ
「こんなにお金貰えるなら生活保護受けるか」
となるわけですが、そう簡単に生活保護は受けられません。
まず、資産を全部手放すことになります。
土地も家もクルマも生活に必要のない家具など、お金に替えられそうなものはすべて手放す羽目になります。
また、貯金額なども細かく調べられるため、不正受給もできません。
十分な貯金がある場合は生活保護の申請は拒否されます。
加えて、生命保険などの各種保険も解約させられます。
とにかく「お金に替えられそうなもの」はすべて現金化されると思ってください。
さらに、生活保護を受ける前に家族や親戚に連絡がいき「援助できないか」自治体から依頼されます。
つまり、あなたが生活保護を受けようとしていることが、親戚中にバレるということです。さらに、遠縁の親戚でほとんど無縁の人にも「援助の依頼」がなされるということです。
このように、生活保護を受けると大きな「恥」をかくことになります。
生活保護はこの「恥」を乗り越えて受けられる最後の砦と言えます。
参考:札幌市「生活保護法による保護の基準表(2017年)」
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